6号機 全台レビュー企画 Part 1 ~2018年10月編~

長い長い準備編もようやく終わりました。
それでは、6号機  全台レビュー企画  スタート!


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ちょっとその前に

前回の出玉試験編は想像以上に反響があり、書いた側として嬉しい限りです。
かなり長い上にマニアックな内容だったので、まさかここまで多くの人に読んで貰えるとは思いもよらず...ビックリしたよ。

この場を借りて、読んで下さった全員に感謝申し上げます。本当にありがとうございました!  徹夜してまで仕上げた甲斐があったぜ。

てな訳で準備編も無事終わりましたので、本編の6号機  全台レビュー企画へ移りますね。まずは簡単な説明から。

今回の全台レビュー企画は

・全12回
・2018年10月~2019年12月までの全6号機について、1記事1ヶ月分で導入日順にレビュー(2019年5~7月と11~12月の2記事のみ例外)
・その台についての個人的評価(100点満点)を付けつつ、良い点と悪い点をピックアップ
・演出やゲーム性だけでなく、台の機械的な側面にも触れながら面白い部分とダメな部分を紹介

上記の方針で進めていく予定です。
僕自身の癖として悪い所よりも良い所を積極的に探して楽しむタイプなので、両方を併記しつつも殆どの台を褒める傾向にあります。台の仕組みだったり製作者のやりたかったことだったり、あるいは原作愛だったりを汲み取って甘く採点することが多め。

逆にそんな僕でも低評価をつける台は何かしらの問題があるとお考え下さい。

また、ほぼ全ての6号機を打ってはいるもののレアすぎて触れていない台(オリジナル機種や超少数導入台など)が存在したり、打ち込み度その他は差があります。実は完走できていない機種も幾つか...その辺はご容赦を。

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評価形式について

(1/27, 2/7 追記。本編に移る前に必ずお読み下さい)

今回の全台レビューは50~100点の幅の中で点数付けを行っていきます。

この点数は
・その機種が出た当時の状況を踏まえた完成度と革新性
・パチスロとしてのゲーム性の面白さ、演出バランスの良さ
・機械性能の良さと実現するための仕組みや工夫
・製品として成り立っているかどうか
を大まかな基準に判断しております。

同じシステムであれば最初に出た機種を最も高く評価するし、たとえ機械性能が優秀でも演出やゲーム性の完成度が低ければダメ台として扱うってことです。逆もまた然り。

また、「なぜ最低点が50点なのか?」と疑問に感じた方もいらっしゃるでしょう。
これは『40点台以下は"赤点"であり、製品として成立するか危うい代物につける点数である』という個人的な考えによります。5号機の頃はそういった製品未満のクソ台が複数ありましたからね...例えばトロピカルキス  ビターVerやバグで有名になった信長の野望(2013)とか。他にも色々。

6号機は確かに酷い台は多いですが、ワースト機種ですら製品として売り出せる最低限のラインを割っていません。純粋につまらんか、ただ性能が低いだけって印象です。
50点未満を付けるには少し物足りない、かと言ってベースの50点を切り捨てて最大50点満点にしてしまうと、僕の感覚と大きなズレが生じてしまう。

そこで、より実際の感覚に近い評価形式として『星5段階での評価』を併記しております。

こちらでは
ワースト機種の50点を(★1)
実質的な最高得点となる90点オーバーを★★★★★(★5)
として評価を行っていきます。

5点上がるごとに(★0.5)ずつ増えていく形式。そのため、5段階とは言っても実質的には9段階評価ですね。今後はこの星の数が"その台に対する6号機としての個人的評価"と思っていただいて構いません。

この星評価は★★☆(★2.5), つまり65点が一つの基準となります。この点数を下回ると6号機としてのダメ台ラインを割ることとなります。65点以上は『パチスロ大学の単位あり判定!』とイメージしてください。当企画ではこのラインを意識して評価していきますね。

「星評価をメインにするなら点数付けは不要ではないか?」と思われるかもしれませんが、これは『同じ星評価を持つ複数の台達の中で、細かい順位付けを行う役割』を果たします。特に下位層においては重要です。

目安はこんな感じ。

50~54点(★1): その年のドベ3クラス。褒める所がない上に減点要素多数有り
55~59点★1.5): 凡台の中のワーストクラス。良い点より欠点の方が明らかに多い。世間的にはクソ台
60~64点(★2): 面白い所は幾つかあれど、明確な欠点が存在。あと一歩足りない。
------------------------合格点の壁------------------------

65~69点(★2.5): ボーダー以上平均以下。可もなく不可もなく平凡。
70点台(★3~3.5): 機械性能の高さやゲーム性の面白さは十分に評価出来るが、ストレスポイントや作りこみの甘さが散見される。中間層。6号機の多くがこのレンジ
80点台(★4~4.5): 全体的な完成度が高い良台。各ジャンルでトップの台が当てはまる。上位層。
90点~100点(★5): 僕が本気で推したいと思った台。年間MVPクラス。

僕の採点は基本的に加点方式なので、減点要素の方が多くなることは滅多にありません。多少の欠点があっても普通に遊べれば、ほぼ65点以上を付けます。逆に言えば、"合格点未満の機種は何かしらの減点を食らっている"ってこと。その辺の詳細は個別に語っていきますね。採点基準の説明終わり!

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時折小話を挟みつつ台の楽しみ方についても語っていけたらな~と思っています。準備編と比べればマッタリした内容にするつもり。

そんじゃ始めるとしますか!!

HEY! 鏡


メーカー: 大都技研
導入日: 2018年10月1日
評価: ★★★★☆(★4.5)
点数: 85点

良い点
・6号機AT機一発目にして屈指の完成度とスペック
・番長3を踏襲した良質な演出フロー
・純増5枚のAT『慶志郎チャンス』と減算区間『ドライブゾーン』をループさせる、シンプルでわかりやすいゲーム性
・打ち手を楽しませようとする意図が随所に感じられる造り

悪い点
・良くも悪くも単調、かつ見慣れた演出とゲーム性のため飽きが早い
・露骨すぎる高設定の挙動
・有利区間の都合上、ハマると1000~1500枚程度で完走となることも多い
・全体的に高ベースAT機特有の欠点が目立つ


6号機時代の始まりを告げた一機種

記念すべき一発目の台は皆さんご存じ『HEY! 鏡』
6号機AT機  最初の機種にして"機械的にやれることを全てやりきった"と言っていい程の完成度を誇ります。間違いなく良台です。

内規緩和に伴うAT純増5枚のインパクトと設定6の高い機械割。
同じく緩和に伴って復活した天井やゾーン、周期といった5号機を踏襲したゲーム性。
大都の看板版権「番長シリーズ」のスピンオフとして人気キャラの鏡慶志郎を主人公に起用したコミカルな演出。
「一度は打ってみたい!」と思わせるキャッチーな要素に溢れた一台でした。

5.9号機を積極的に打っていた当時の僕にとって、それはそれは魅力的に映りました。
「ようやくまともなスロットが帰ってくるのか...!!」とね。番長3が大好きだったこともあり、鏡の情報が出始めた8月ごろから導入日までは情報を逐一チェックして、導入を楽しみに待っていました。
実際、鏡はその期待に応えるだけの出来であったと思います。しかし、同時に高ベース6号機でやれることをほぼ全てやり尽くしてしまっていたため、6号機の限界を如実に感じてしまう一台でもありました。今回のレビューでは鏡のゲーム性や機械的な部分、試験を通すための工夫に加えて、パチスロで最も重要な"魅せ方"についても語っていきますね。


通常時の周期「HEYシステム」と演出フロー

通常時は左のカウンターにある"HEY"を貯めていって前兆演出の"特訓"を目指します。HEYは最低でも1Gにつき1pt以上獲得でき、レア役を引いたり仲間を集めたりすると効率がアップし、一気に規定HEY数まで到達することも。
特に強レア役だと33.6~44.5%で規定HEY数までの強制到達抽選を行っており、番長シリーズお馴染みの「ゾーン外でもレア役でボーナス直撃」を再現。(ここが個人的にかなり好きだったり)

規定HEYとボーナス当選率を管理するのはモードとカウンター数です。
モードは通常、チャンス、天国の3つがあり、それぞれ演出に発展しやすいゾーンが異なります。通常<チャンス<天国の順でボーナス当選期待度が高く、偶数設定ほど右に移行しやすい。この辺も番長シリーズならではの良さを生かしていて、スッと頭に入ってくるのがいいですよね。

また、特訓に発展し外れるたびにカウンター下の数字がカウントされていき、回数ごとに特訓時のボーナス期待度も変化。
「奇数は1周期目で当たりやすく、偶数は2周期目移行が当たりやすい」
「5周期目は全設定共通で50%以上の期待度」などと言った具合。
加えて、HEY数リセット後にボタンを押すとボイスで滞在モードや次回規定HEY数を示唆。
打ち手に一定の期待感を持たせつつ、"やめさせない"造りが上手に出来ていると思います

基本的な演出フローは番長3を踏襲。ただの使いまわしとも言いますけど。
一つ大きな違いとして番長3は対決が自力CZだったのに対し、鏡は今までの番長シリーズと同様の前兆演出でしかないため、強い演出は素直に熱く、弱い演出はやっぱり弱くてイライラしづらいバランスになっています。また、対決中にレア役を引いても書き換えが殆どなかったり、前兆G数での法則も若干の変更があったりするので番長3が特に好きな人は違和感を感じるかも。その辺は好みが分かれます。

(今更も今更なのでこれ以上は説明不要ですわな。大都らしいプレミア演出も豊富)

JETボーナスとバス

特訓での演出成功後 or 天井到達後(950G+前兆)は「JETボーナス」に移行。純増5枚 20Gのボーナスで約100枚を獲得したのちに減算区間「ドライブゾーン」でAT『慶志郎チャンス』当選を目指します。

JETボーナスには赤7青7があり、赤7後のドライブゾーン(以下DZと表記)は基本バス(16G 期待度25%)ですが、青7であれば番竜門(32G 期待度60%)以上になるためAT当選期待度が高くなります。青7への昇格は通常時の抽選 or 準備中に貯めたポイントで行われるのもサラ番っぽくて良き。

赤7だったとしても番竜門以上が出てくることがあり、ここが設定差大。
万一バスが選択されていてもボーナス中のチャンス役で内部レベルの昇格抽選を行っており、パスすると番竜門以上が出てきます。

・・・ま、皆さんとっくにご存じの内容ですよね。初回のレビューと言うこともあって基本的なゲーム性をまとめてみましたが、一旦終わりにしましょう。
次からは機械的な話や試験を通すための工夫、演出での魅せ方に加えて、個人的に考える『6号機で守るべき最低限のルール』についても言及していこうと思います。

(次々回予告ホント好き。青7は強い、前兆が長ければ熱いといった過去作の法則を流用できるのがシリーズ物の強みよね)

5号機時代の遺産を使いこなした機械的完成度の高さ

4号機⇒5号機への移行時と違い、6号機では5号機のシステムが流用可能なのは出玉試験編で話した通り。鏡は5号機時代の遺産をキッチリと使いこなし、6号機一発目にしてほぼ完成形と言える仕様で作られています。

・規制緩和の元で純増5枚を実現するための「アクセルAT」と減るボーナス
・リプレイ確率を上げないで済むようにしつつ、打ち手が快適に遊技出来るよう"2枚掛け & 3枚掛けゼロボを搭載"する「やじきた方式」
・ゾーンやモードと言った5号機から続くゲーム性と、メイン基板の少ない容量でそれを実現するための圧縮技術と演出の"魅せ方"
・高純増ATを6号機の厳しい出玉制限において実現するための、AT⇔減算区間のループ

大きくはこの4つでしょうか。特に上二つは6号機の仕様を最大限に生かすためには必須ともいえる要素であり、その後の6号機もほぼ踏襲しています。
(あえて別の方式を採用している台もチラホラありますが、それらは個別の記事にて)

高純増ATと減算区間のループも同様です。6号機の緩和が発表された際は「4号機並みの高純増ATが出てくるぞ!」と浮足経つ人も多かったのですが、実際は短期試験 400G 220%の都合があるので
『高純増ATと減算区間を交互に挟むタイプ』 or 『純増3枚前後でノンストップに出続けるタイプ』
の二つしかやりようがありません。

ちなみに当時の僕は前者派
折角緩和されたのに"試験の限界を超える可能性"を生かさない手はないと思っていましたからね。鏡は前者として、現行機を含めても優秀過ぎるほどの造りになっています。
もう少しその部分を詳しく話していきましょう。

(6号機最大の強みとも言える高純増AT。その爽快感を実現するための仕組み、搭載する際の制限について知ると楽しみ方も変わってきます)

高純増ATと減算区間

6号機の規制緩和によって登場した純増3枚を超える高純増AT機。しかし、短期試験400G 220%、あるいは中期試験1600G 150%の都合を考えると減算区間は必須です。例外はありません。

『減算区間の魅せ方が上手いかどうかが6号機の評価を最も左右する』と言っても過言ではないと思います。(だからこそ僕の中でチェンクロの評価が非常に高いのですが...それはまたいずれ)

この1年でそれぞれのメーカーが多様な減算区間の魅せ方を模索し、そして失敗していきました。鏡やチェンクロが守っていて、後続の機種が守れていないルール。

それは『初当たりの出玉が減算区間でマイナスになってはならない』という、当たり前すぎるものです。

例えば鏡のJETボーナス。連チャン期待度が低いバスは16Gしかありません。また、終了後の特訓移行もほぼないため『減算区間を回したら初当たりの出玉が全てなくなっている』事態は起こりえません。
逆に32Gの番竜門が選ばれた際にはAT当選期待度が上がります。つまり、"減るストレス"よりも"増えることへの期待感"が強くなるんです。

こういった配慮がまるで出来ていなかったのが『ロードオブヴァーミリオン Re:』
初当たりで60枚しか獲得できないのに96Gもの減算区間を回させ、しかも7割近くが96Gを抜ける=ほぼ追加投資をさせられる仕様になっています。
「当たったのになんで金減ってんだよ...」というストレスを打ち手に与えてはならない。これは僕の考える6号機 高純増AT機の大前提です。

(LOV Re:自体はソコソコ面白い台なのですが、機械性能を重視しすぎたために打ち手への配慮が欠けています。減算区間を打ち手が納得して回せるようにする工夫、そのバランス感覚が6号機においては非常に大切)

最近だとファフナーEXODUSもコレに該当しますが...あちらの場合は短期対策ではなく高ベースのせいで割を食っている面が強いのでまた話は別。

どちらにせよ高ベースだと出玉があまり減らないので、純増が高ければ高いほど減算区間を長くとる必要があります。長い減算区間において如何に打ち手にストレスを感じさせないか、その点への配慮が鏡は"ある程度"出来ており評価が高くなるポイントです。

10ナビ⇔DZのループによる"増えないAT"

なぜ"ある程度"という表現にとどめたか。
そう、皆さんご存じの通り鏡は10ナビ⇔DZ後半当選の地獄ループによる増えないAT状態が割と起こります。

DZはゾーンでのレバオン抽選 or 強レア役でのAT当選が基本です。このゾーンシステムは番長シリーズの持ち味を生かしつつ、減算区間を違和感なく回させるための仕組みとして非常によくできていると思います。
強レア役の場合は前兆なしでATに当選し、DZ開始直後にチャンス目を引くなどしてATの即連が期待できるのも◎。

しかし、高ベース高純増ゆえに減算区間を長めに設定せざるを得ず、また半分近くは10ナビを選択しなければトータルバランスが取れないことから、DZ後半当選⇔10ナビで「実質50Gで30枚しか増えてない」「当たってるのに出玉が増えない」との印象が強くなりユーザーの不評を買ってしまいました。

(その最たるものが豪遊閣です。仕組み上、後半で当選する振り分けが多いため「なぜ当たりが確定しているのに減らされるんだ」とストレスを与えてしまうことに)

一応DZ後半の当選だとベルナビ20の振り分けが優遇されているようですが、それでも10ナビが来るときは来ます。"純増5枚!!"から想像するスピード感や荒々しさが、頻繁に挟まれる長い減算区間と短いATの歪なバランスで潰されてしまうんです。

全ナビ数と減算区間をトータルした純増は大体2枚前後。そのため、天井からのATは500G×2枚=1000枚前後で完走となります。低設定ほどハマるため出玉が少なくなりやすく、高設定ほど早く当たるため2000枚以上の獲得が見込める...高ベースAT機と有利区間の相性の悪さが見て取れますね。欠点の少ない鏡における、大きな弱点と言えるでしょう。

短期と中期のバランスを考えると妥当な数字ですが、高純増に期待したユーザーを満足させられなかったのも事実。大都は鏡の反省を生かしてリゼロを作り上げることとなります。リゼロについては出玉試験編でガッツリ話しましたし、今回は割愛。

(高ベース機は出玉をすぐには減らせないため、減算区間で有利区間を無駄遣いするハメになります。それでも、上記画像のように早い当たりと100ナビが絡めば1600枚程度は出ます。この辺は高純増ならではのポテンシャルよね)

試験を通すための工夫  "100ナビと頂対決"

鏡が型式試験を通過した当時、その適合率はなんと12%前後。しかもダミースペックを含めての数字なので、本命スペックは数十台に一つ通るかどうかの世界でした。各メーカー6号機の作り方に慣れていなかったのもありますが、むしろ"攻めた"スペックをガンガン持ち込んでいたことが理由でしょう。それぐらい開発側に情熱やモチベーションがありましたし、予算も潤沢にあったのだろうと想像はつきます。

その中で奇跡的に試験を通過した意欲的スペックが鏡やチェンクロになります。
6号機の実情として『初期型の方が今の台よりスペックも出来も良い』事実があり、この1年で6号機が機械的な進化を止めてしまったことと、予算やモチベーションの都合で妥協したスペックが増えていることが原因です。

適合率が上がったのは、単純に低スペックな台が増えているってだけの話。あくまでも僕の印象ですけどね。

(最近の台だと例えば猪木。設定6の割は上がっていますが、純増やATと減算区間のバランス、100ナビの発生率など機械性能の面では鏡に大きく劣っています。ゲーム性が近いせいで余計に目立つかも。ただ、演出そのものはメッチャ良いです)

そんな奇跡で通ったHEY! 鏡ですが、当然ながら出玉試験対策を施しております。
例えばAT100ナビ。純増5枚で平均800枚、一見すれば短期試験に落ちてしまいそうな100ナビですが割と現実的に引けます。恐らくは試験中も何度か引いているはず。

夢の純増5枚ノンストップATを搭載しながらも、短期試験を違和感なくかわす仕組みとして用意されたのが特化ゾーン"頂対決"です。
「え?頂対決に行ったら出玉増えるんだから、むしろ試験落ちるんじゃ?」
と思われるでしょうが、実は逆。
イレギュラーを防ぎ、試験を通すために"あえて"頂対決を使うんです。この辺の上手さ、つまり"魅せ方"が秀逸なのがHEY! 鏡もとい大都の持ち味なんですよ。


簡単に説明していきましょう。

AT100ナビは平均枚数800枚と言われており、純増5枚なので消化に160G掛かると仮定します。すると、短期試験400G 220%を突破するには「残り240Gで440枚まで(純増1.83枚)」に抑えなければなりません。

この際に最も危険なのは何か。50ナビ?100ナビ? いいえ、違います。強レア役によるATの即連です。
たとえ10~20ナビだったとしてもDZ突入直後の強レア役での即連が発生してしまえば、連チャンが終了しない限り100ナビ後はほぼ短期試験に落ちてしまいます。すぐに当たってしまったらマズいんです。

だからこその頂対決なんですよね。100ナビ時はメーターを貯める時間が長いためほぼ頂対決に突入します。そして、頂対決中は強レア役を引くと勝利ストックは貯まるものの、前兆~対決までの16G程度を減算区間として必ず消化。連チャンは約束されども即連はしません。

さらに頂対決中はほぼ10ナビが選択されます。すると10ナビ消化⇔頂対決のループは"30Gで60枚程度増える(=純増約2枚)"を繰り返すので、出玉は増やしつつも実際は間延びしているんです。
しかも、打ち手は「頂対決中は減算区間が16Gに短くなるから出玉も減りづらい」と感じます。ここが非常に上手い。

ナビ10⇔DZ後半よりは気持ちよく増えつつも、機械としては試験を通すために純増と出玉量を調整している...そして打ち手にソレを損と感じさせない工夫と演出。
これこそが6号機に最も求められる"減算区間の魅せ方と上手さ"なんですよ!!  本当に素晴らしいと思います。

上記の内容はナビ50の時も同様です。試験の限界を超えるポテンシャルを持たせつつも、なるべく偏らないようにリソースを配置するセンス。これが全メーカーの中でずば抜けて上手なのが大都です。ちなみにヘタクソなのは平和とユニバーサル。配慮が足りないのは七匠。サミーはチェンクロの時だけ良かったけど他は微妙~普通。他のメーカーは機種によりけり。あくまでも僕の個人的な印象ね。

(普通に考えれば試験に落ちてしまう代物を現実的に引ける確率で搭載する...そのためのリソース配分と魅せ方のセンスが大都はズバ抜けています。だからこそ、どのメーカーよりも早く鏡を通せたし、リゼロのような機種を作ることも出来たのです)

(頂対決が搭載されている本来の意図に気付くと、なぜ大都が6号機で躍進したかを理解できるはず。ただし、それでも100ナビを連続で引けば試験には落ちます。"対策を施した上で運ゲー"の精神はリゼロにも引き継がれました)

余談ですが、僕の個人的な意見の一つに
『6号機はどのリールから押しても出目で楽しめるようにすべき』
というものがあります。

この点においても鏡は秀逸ですね。左中右、どのリールから押しても出目の法則がありますし、演出との絡みで楽しむことが出来ます。また、変則押しをした際にベルこぼしでチェリーが中段に止まったり、リプレイが斜めに揃って払い出しなしだったり、そういった雑な制御は二流メーカーのすることだと思うのです...ああ、そうだよ!弥生ちゃんのことだよ!

ユニバさん、仮にも最大手のメーカーなんだからリール制御ぐらいはちゃんとして下さいよ。本気を出したまどマギ叛逆ではまともになってましたが、ああいうので失望させるのはもうやめてね。
あと七匠もね。君らの作る台、順押し前提の台が多すぎやしませんか。もうちょっと工夫してください。
サミーと大都はその辺キッチリしてます。大手が作るってのはそういうことだと思うんよ、俺は。
愚痴終わり。


それと、おまけで搭載されている絶頂対決

(僕は引いたことないですが、隣で弟が引きました。サクッと30分で完走。流石に早いっす。上の画像は拾い物)

コイツを引いたら純増5枚弱でほぼ完走します。当然100%試験に落ちる性能を有していますが、ご存じの通りフリーズ確率は20万分の1。リゼロと同じく出玉試験で引かれないギリギリの数値に設定されています。

正規ルートでの突入も一応存在しますが、ほぼ都市伝説レベルの確率となっており非現実的。夢のスペックを搭載しつつも試験で引かれないよう工夫を凝らす...リゼロを作ったメーカーだな~と思わせる作戦ですよね。ホント上手だわ。
(ちなみに大都の開発者にインタビューした記事はコチラ。外部リンクになりますが、面白い内容なので番長3や鏡ファンの方は是非是非!)

単調で飽きの早いゲーム性

しかし、打ち手もバカではないので時間が経つと次第に気付いてしまいます。
「鏡ってぶっちゃけ単調じゃね?」という事実に。

通常時の退屈な周期システムと見慣れた演出群。ほぼ規定G数まで回さないと当たらないDZ、見慣れた演出と騒がしい割に10ナビ多めで意外と増えないAT、良くも悪くもシンプルなゲーム性は正直飽きが早かった。一言で表すと無難すぎたんですよ。

(カカカカモーン!してる間は楽しいんですが、派手な割に同じことの繰り返しなので割とすぐ飽きます)

もっと言えば、同じく減算区間とATをループする台の先輩として『沖ドキ』があったのもマズかった。
鏡と比べて千円ベースが半分、連チャンモードの期待枚数も2倍、トータル純増もあちらの方が上でリミットなしとくれば
「設定が入らないならわざわざHEY! 鏡を打つ理由はない。沖ドキで十分」
となるのは自明の理。

12月の増台をもって設定状況が落ち込んだ後、一気に稼働がなくなってしまったのもこの"無難さ"が理由だったように思います。この台にしかない魅力が少し薄かったんですよね。「単調なゲーム性をどうやって改善していくのか」、これはメイン基板管理である6号機全般が抱える問題点だと思います。

(それでも、鏡は出目と演出の絡みや前兆法則等で何とか打ち手を楽しませようと努力しています。久々に打つと面白く感じるのはそのおかげ)

わかりやすすぎる高設定挙動と後続に与えた影響

HEY! 鏡の設定6は非常に安定したグラフを描きます。コツコツ早い当たりと数百枚の獲得を繰り返すその姿はさながらハイスペックAタイプのよう。あまりにも挙動がわかりやすすぎたため、周期ごとのボーナス当選率の解析が出た直後に一気に客が飛びました。

(僕も増台直後に設定6を一度打ちましたが、まあ露骨でした。「今まで打ってたのは何だったの?」レベル)

その理由は準備編出玉試験編で話した通りです。高ベース機は吸い込む力が弱いため、中期試験の範囲内で上下の激しい波を作ることが非常に難しい。加えて設定6の機械割を高めようとするならば、殆ど吸い込まないけど一撃性も少ない仕様にせざるを得ないのです。よって、通常時だけでなくAT中にも露骨な設定差のある台に仕上がるのは明らか。この傾向は現在に至るまでずっと続いています。

鏡は6号機AT機一発目ということもあって、「6号機の6はド安定、1は絶望」のイメージをユーザーに強く植え付けることとなります。設定依存度の高い6号機が増えた現在では、このイメージは確固たるものとなってしまいました。

鏡の後に出た低ベース機のチェンクロは、6号機としては珍しくAT中に一切設定差がありません。そのため6でも安定せず、お店が高設定を入れても気づいて貰えない事態が発生しました。
そもそもの設定状況も悪かったため、「チェンクロは1しかない。6号機の設定1は打てたもんじゃない」との印象から全く回してもらえなかったという...
ペナの問題もあったのでホールからは完全に厄介者扱い。悲しい話ですよ。

また、高ベースAT機はコイン単価が低いため売上が伸びません。打ち手は絶望的に感じる挙動なのに、お店としては甘すぎるんです。しかも挙動が露骨な上に設定示唆が出まくるので、下はすぐ放置されて456だけぶん回される事態が全国的に多発。仕方なくお店は設定2をメインにせざるをえなくなり、2じゃ抜けないから高設定も入らなくなる。正に悪循環。

結果として新台期間が終われば設定1,2の6号機を誰も回さず、旧基準~5.5号機ばかりを打ち手は好んでしまう状況がずっと続いています。打ち手、ホール共に絶望的な状況ですわな。

これは僕の持論なのですが
『パチスロは設定1でも面白くて戦える台でなければならない』
と思うのです。だってホール営業は設定1が基本なんだから。設定1で抜かないと高設定を入れる余裕なんて出来ないんだから。当たり前の話です。

ここで一つ付け加えたいのは「"設定1でも戦える"と"設定1だけ荒波"は似て非なる」ということ。
1だけ荒波で456は露骨な挙動をするのはダメなんです。パチスロにおいて設定1は基本であり、その基本が荒波でハイリスクハイリターンの台だったら気軽に遊べないじゃないですか。
全設定荒波なら良いですけども、1だけ荒波な上に456がド安定の挙動をしてしまったら誰も1を回さなくなるじゃないですか。誰だってリスクを負うのは嫌ですもん。

しかも6号機には有利区間があるので最大でも一撃2400枚しか出ません。てか、最近の台は高ベースばかりだから完走しても2000枚すら出ません。ハイリスクミドルリターンがせいぜい。そりゃ皆打たなくなるよ。

1でも「もしかしたら高設定かも?」と期待を持たせる仕様でなければならない。
そのためにはAT中の設定差を極力減らしつつ、設定はあくまでも示唆に留めて確定を出す頻度を減らすべきだと僕は思います。最近の台、ちょっと異常です。設定示唆や確定演出が出過ぎ。設定判別をする楽しみを奪ってません?
どうかと思うよ、ホント。

(収支的にはありがたいですが、流石にちょっとやりすぎです)

総評

HEY! 鏡は高ベースAT機として非常に優れた6号機です。機械としての造り、スペック、演出の作りこみ、出玉試験対策の巧みさ、どれをとっても高ベース6号機の枠内では一級品。
これらを客観的に踏まえた上で、僕なりに点数を付けるとしたら85点となりました。4.5と最高クラスの評価です。現行の6号機でこの点数を超えられたものは数えるほどしかありません。本当に素晴らしい台だと思います。
けれども、6号機が本来持つポテンシャルを考えるなら鏡は偏差値60ってところかな。まだまだ上は目指せるはず!(勿論、高ベースのままでは非常に難しくなります)

今後のAT機は鏡が作ったハードルを軽々と超えていくことが要求されます。射幸性一辺倒にならず様々な仕組みやゲーム性を模索した上で、スロットって面白い!と思える台を開発して欲しいところ...開発の人たち、応援してますぜ!!


おまけ

一部の人はご存じでしょうが、実はHEY! 鏡は6号機一発目ではありません。鏡よりも早く導入された"本当の初6号機"が存在します。そうだね!ゲッターロボだね!

ぱちスロ  ゲッターロボ



導入日 2018年 9月21日(直営店先行導入の場合)
評価: ★★☆(★2.5)
点数: 65点

良い点
・本当の"初6号機"
・予告音と出目の絡みなど、ノーマルタイプとしてはソコソコ面白い
・合算が1でも99分の1と軽い割にコイン持ちは良い方

悪い点
・BIG 155枚、REG 56枚と少なすぎるボーナス枚数と低い機械割
・妙に打感の悪い旧京楽筐体と眩しいフラッシュ
・地味にミスる目押し

初6号機を味わいに

2018年9月。世間はHEY! 鏡の試打動画で溢れかえっている中、ひっそりと導入された本物の初6号機、それがぱちスロ  ゲッターロボです。ええ、勿論僕は直営店で初週に打ちましたとも!

ゲーム性は至ってシンプル。予告音と出目の絡みで楽しむノーマルタイプです。あまり打ち込んでいないので何とも言えませんが、予告音が鳴る→ベルリプWテンパイ→ハズレでリーチ目が気持ち良かったのを覚えています。
演出はノーマルとシンプルの二つを選べるのですが、合算99分の1とポンポン当たるのでどちらを選んでも楽しめたように思います。ごめんねうろ覚えで...

(予告音からの小役矛盾でリーチ目が基本パターン。意外と面白いです。当時は隣の人が実践データを全て紙にメモしていて、「ライターさんかな?」と思った記憶)

ボーナス中は地味に目押しを要求されるのですが、僕はビタ押しが苦手なので結構ミスりました。

とは言え、何よりもこの台が致命的なのはボーナスの獲得枚数が少なすぎることでしょう。
BIGで155枚、REGで56枚では何も嬉しくありません。6号機の出玉試験が如何にAタイプに厳しいかが見て取れます。これですら、かなり限界に近いスペックなんですよ・・・?ホントおかしいってこれ。

(150枚しか貰えないBIGですが、2枚掛けの15枚払出なので地味に攻めたスペックなんすよ。"攻めてコレ"ってのが6号機ノーマルタイプの現実。そりゃAT機が増える訳だわ)

Aタイプもといノーマル機と出玉試験においては役物比率と1種BB、2種BBの兼ね合いが存在します。本当はガッツリ語りたいのですがあくまでもおまけですので、そちらについてはドンちゃん2をレビューする折に触れたいな~と思いつつ。

最後に

無駄に長くなりましたが2018年10月編はこれにて終了!
次回は僕の大好きなチェンクロや、今思えば意外とマシだった家康ちゃんだったりをレビューしていく予定。今回も大分長めになってしまったのですが、この分量で全機種書いたら僕が確実にギブアップするので打ち込んでいない機種はサラっと流しつつ、語りたい機種についてはある程度書いていくスタイルでいきますね。

最後まで読んで下さってありがとうございました。次回の記事でお会いしましょう。

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チェン

コメント

  1. 通りすがりですがやはり凄く面白い記事ですね!
    頂対決がまさかそんな目的だったとは…大都は魅せ方が本当に上手いですね
    個人的に良台かどうかは負けた時にそれを自分のせいに出来る台かどうかだと思ってます
    5Gの間にレア役引けは無理ですけどそれが30Gだったり引くものがリプレイ程度のものならやれそうな感じがしますし,そういったものが積み重なって自力感に繋がっていくのかなと
    でもその時に最も重要なのが魅せ方だと思います 中身がガチであれ出来レであれ"自分が書き換えたんだぞ"という分かり易い実感を得られる演出があるといいですよね(チェンクロはここが惜しかったのかな?)
    最近のお気に入りは北斗天昇の激闘ボーナス"のみ"です笑

    長々とすみません このクオリティの記事を更新し続けるのは大変かと思いますが,妥協でも何でもして無理ない範囲で続けてください

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  2. 今回も読んで下さってありがとうございます!

    大都は本当にリソース配分が上手ですね~
    打てば打つほどセンスの良さを感じます

    僕も個人的な好みとして「自力で引いてやった感」のある台が好きです
    ちょうどおっしゃっている自分で書き換えた感...チェンクロは間違いなく6号機で最もこの部分が優れている台なんですよ! パッと見だとわかりにくいんですが、惜しいどころかむしろ逆です逆。
    CZ,AT中に一切設定差が無く、全てが自力のガチ抽選な上にタイミング良くレア役を引くだけで100%勝利するタイミングも随所にありますからね。
    是非一度打って触って知ってみて下さい!北斗の激闘ボーナスが好みならば絶対に面白いと感じるはずですぜ
    (その分、理不尽に負けてイライラすることも多いですけど)

    次回記事に関してですが、本業の方が少し立て込んでおりまして少し更新が遅れる見込みです。
    今週末は厳しいとして、来週後半~末にかけてアップできればいいかな~と思いつつ
    どうせまた1万文字ぐらい書くのでマッタリお待ちいただければ幸いです

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  3. 昨日から記事を読ませて頂いております!
    6号機の新台…基本どれもリゼロ式な現状ですね。。。僕の地域はようやくルパンイタリアが導入されましたが…リゼロを増台しただけのような。
    BIGの1ゲーム連によるBIG2連の払いだし600枚強=ゼロカラッシュの初期ゲーム数65に上乗せ10ゲーム みたいなものですし…REGボーナスの60枚払いだしは白鯨に負けたのと同じ扱いですね汗
    これじゃホールの稼働率維持も大変なような気がします

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    1. 今回も読んで下さってありがとうございます!

      そうですねぇ...良くも悪くもリゼロの影響が色濃く出ている印象
      このタイプは中身がバレた瞬間に稼働が終わる仕様なので、さもありなんと言いますか
      ガワを変えただけで同じ中身の台が量産されている状況ではお客もそりゃ減っちゃいますよね

      うちの地域にはまだ導入されておりませんが、入ったら一度触ってみようとは思っています!

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  4. チェンクロの記事から読ませていただいてます!
    今回もとても興味深い内容でした!

    HEY!鏡の善し悪し、文章化されたものを見てみると改めてなる程なと思いました。

    演出面、出玉性能はもちろんですが「どこから押しても面白い」というのはすごく大事だなとココ最近実感しているところです。
    最近導入されたルパンも順押しフリーでOK、かつスライドプッシュがあるので回す分にはストレスフリーですが如何せん中押し制御が…

    後はチェンさんも言っていたように1でも戦える機種が増えてくれる事を願うばかりですね。

    次の記事も楽しみにしています!
    どうかお体にはお気をつけて!

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    返信
    1. 今回も読んで下さってありがとうございます!

      どこから押しても出目で楽しめる、意外と最近の台で軽視されがちなポイントだと思うんです。
      スライドプッシュで虚無の通常時を回させ、AT中はベルを一瞬で取得して終わり~を前提とした台があまりにも多すぎます。
      もうちょっとスロットとして楽しませて欲しいなぁと悲しくなる今日この頃。

      本当の意味で設定1でも戦える6号機が冗談抜きでチェンクロと朋友ぐらいしかないのが現状の6号機の大問題ですよね...
      早く本当に打ち手が求めているものに業界は気付いてくれ!と祈るしかないのが悲しみ

      今しがた11月分の記事が仕上がったので夕方には公開しますぜ!
      ただ、想定の3倍以上長くなってしまったので最後まで読んでくれる人がいるかは謎どす...

      体調も回復しつつあるので、しばらくはマッタリさせてもらいますね。

      削除

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